廣久葛本舗

本葛の製造

廣久鹿屋製造所
〜原料から葛デンプンを搾取

昭和58年に完成した廣久鹿屋工場では、近隣の山野で収穫した葛根から、その繊維を絞って葛デンプンを取り出すまでの工程を行います。十代目久助が11月〜翌年の3月頃まで現地に入り、一子相伝の本葛づくりに専念しています。

◎原料

長年、当社と契約している掘子さんが収穫した葛根は、廣久鹿屋工場にまず持ち込まれます。  自然のなかで育った葛根は、育った山の土の成分や環境、成長の年月などにより1本、1本太さ、重量、水分量、繊維の固さなどが少しずつ異なります。それをしっかりと見極めてから手仕事で1本、1本ていねいに下処理を施していきます。地味ではありますが、上質の本葛をつくる上で欠かせない職人の目利きによる作業から本葛づくりは始まります。  粉砕機にかける前に特殊な洗浄機にかけて表面をきれいに整えていきます。

  • 晩秋から翌年の2月頃まで、掘子さんが穫った葛根がほぼ毎日、工場に運び込まれます。
  • 1本、1本手作業で、ていねいに土を取り除き、繊維の固さなどを確認します。
  • 九代目が開発した特殊な構造の洗浄機で固い表面を削り、粉砕した繊維がやわらかくなるようにします。
  • 特殊な構造の洗浄機の中。たくさんのブラシで表面の固い部分を削っていきます。

◎粉砕

洗浄後、大きさを揃えて専用の特殊な粉砕機にかけ、デンプンを絞りやすい繊維状に粉砕していきます。大きさの異なるものは別途手作業で大きさを揃えていきます。

  • 表面をきれいに洗浄し、大きさを揃えてコンベアーで粉砕機に運びます。
  • 粉砕機は、デンプンが絞りやすくなるよう廣久九代目が開発した特殊な構造になっています。
  • 粉砕機は、葛根の繊維が同じ方向に粉砕されるように開発。葛デンプンを絞りやすくしていきます。
  • 粉砕された繊維は、水に溶かすように混ぜ、水洗い工程へ進みます。

◎水洗い

真水をかけて、根に含まれる本葛(でんぷん)を洗い流しながら絞ります。

◎自然沈殿法

多くの植物は、それを砕くと発酵する性質をもっています。葛も同様のため、発酵しないように見極める目がなければ本葛はでき上がりません。

絞りとった汁を1日ねかせ、本葛を底に沈殿させます。絞りとった汁は、はじめは醤油のような色をしています。このとき、寝かせる時間を間違うと葛が発酵してしまい、本葛づくりは失敗します。絞った葛デンプンの匂い、さらに気温や湿度を確かめながら、長年の勘を頼りに慎重に作業を進めます。

◎自然沈殿法

沈殿した本葛の上の汁を捨てます。底に沈殿した本葛の上に真水を入れて撹拌し、溶かします。ある程度の時間をおくと重い不純物(砂や本葛の重い部分など)は沈殿し、軽い不純物(繊維質や本葛の軽い部分など)は浮いてくるので、中間のいちばんよいところだけを抜き出します。

◎水晒し(寒晒し)←→浮かし取り

抜き出したものをタンクに入れ、2、3日おくと本葛が沈殿します。そのうわ水を捨てて再度真水を入れて撹拌し、本葛を溶かして2、3日おくと本葛が桶の底に沈殿します。この作業を10回ほど繰り返し、真水だけで白くなるまでさらします。

  • 沈殿した葛デンプンが固まったら、いよいよ秋月の工場へ搬送。仕上げに入ります。
  • この時点で、その年の葛の出来がわかります。

秋月での仕込み〜葛デンプンを本葛粉へと仕上げ

古処山のふもとに広がる秋月は、澄んだ空気と清水が町中をめぐり、冬期にはきゅっと寒が締まる気候が特徴です。  鹿屋製造所から運ばれた半製品は、その清らかな地下水でさらし、昔から変わらず続く「舟入れ」「船上げ」という本葛づくりならではの工程を経て、澄んだ空気に包み込まれてじっくりと乾燥していきます。寒が締まる冬期を越すことで、熟成度が高まり、半年から1年あまり自然乾燥した後、輝くような白さを放つ本葛に仕上がります。

◎舟入れ・舟上げ

水さらしを終えたものを、大型の木箱に厚手の木綿布を敷いた「舟」と呼ばれる容器に入れます。底には竹を割った桟(割り竹と呼びます)が張ってあり、水が抜ける仕掛けになっています。  ひと晩おき、ある程度水が抜けたところで、木の枠に紙を敷いた箱に移し、上から手でたたいて平たくすると同時に、空気を抜いて引き締めます。その上に2枚の厚手の木綿布をかぶせ、上から葛の粉を降りかぶせて本葛の水分を吸収します。

左)“舟”の底に敷いた「割り竹」。
右)“舟”に布を敷いて十分に水で晒した葛を詰めていく。伝統的な本葛づくりの原風景です。

ひと晩おいて、“舟”から葛を取り出して、紙を敷いた木枠に移していく。

最後の工程。厚手の布を二枚かぶせ、上から葛の粉を振りかけて本葛の水分を吸収する。

“舟”から取り出し、木枠に入れた葛を人の手で上から叩いて平面にすると同時に空気を抜い引き締める。

◎自然乾燥と熟成

葛の粉が水分を吸収し、ある程度固まったところで葛の粉と木綿布を取り除き、豆腐大に切ります。半日日陰干しし、2~3か月日陰干しすると一応はできあがりですが、久助本葛は、さらに半年から約1年間、じっくりとねかせて自然乾燥させます。

木枠に入れて平たくした葛に切れ目を入れて乾燥させると、四角く固いブロック状に。

◎純白の仕上がり

純度100%。まったく濁りがなく、まぶしいほどの白さから「白い金」とも呼ばれる久助本葛の完成です。
時間をかけて自然乾燥させているため、溶かしたときにスムーズに水がしみこみます。久助本葛ならではのブロックでの販売は、昔ながらの製法であることの証しです。