築270年 秋月古商家
古処山の麓に開けた秋月は、今も白壁の土蔵や江戸時代の建造物が多く残り、秋月城址に続く杉の馬場にはかつて秋月城の裏門だった長屋門や大手門を移築した黒門が春の桜、秋の紅葉に映え、往時を偲ばせています。まちを歩くと江戸時代の武家屋敷が今も残っていて、主屋や門、土蔵や土塀、庭など当時の様子を伺うことができます。こうした歴史的な景観が望めることから、まち全体が「伝統的建造物群保存地区」に指定され、城下町の風情をとどめる筑前の小京都と呼ばれています。
築270年の廣久葛本舗本店は、秋月の入り口にある眼鏡橋を右手に見ながら古い家並みが並ぶ秋月街道(国道322号線)を少し行った先の右手、玄関を道に面して建っています。
江戸時代の商家のつくりになっている店内は、一続きになっている広い土間が、本葛や葛湯の販売コーナーと葛料理が楽しめる甘味処「葛茶房 葛の花」に分かれています。店内の柱には明治6年に起きた筑前竹槍一揆のときの斧・鍬・刀の傷跡が残り、また、昭和天皇御即位の折に久助葛が献納されたことを示す木札やかつて「宮内省御用達」だったことを示す看板など長い歴史を物語る貴重な展示をご覧いただけます。
秋月は、鎌倉時代から戦国時代まで16代続いた秋月家が、北部九州の雄となった歴史、江戸時代に秋月藩を開いた黒田家の歴史、さらに明治の初め西南戦争の引き金となった秋月の乱など、まちのあちらこちらに歴史ロマンが漂っています。まずは廣久葛本舗の築270年の佇まいに浸っていただいて、歴史ロマンただようまちの散策をお楽しみくださいませ。